この記事を読めば6月30日「夏越ごはんの日」がどんな日で、なぜ生まれたのか、何を食べればいいのかがまるごとわかります。
「なんとなく聞いたことはあるけど、正直よく知らない」
という方こそ、最後まで読んでみてください。
夏越ごはんの日って何?
6月30日は「夏越ごはんの日(なごしごはんのひ)」。
公益社団法人・米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)が、2015年(平成27年)に制定した記念日です。まだ10年ほどの歴史しかない、わりと新しい記念日なんですよね。
ただ、「新しい記念日だから薄い文化」かというと、それは全然違います。
この日の根っこには1000年以上の歴史を持つ神事「夏越の祓(なごしのはらえ)」が深く関わっていて、そちらはかなり重みのある伝統行事なんです。
制定の背景にあるもの
米穀機構がこの記念日を作った目的はごはん食の魅力を再生させて、お米の消費拡大を図ることでした。
日本人の食生活がどんどん欧米化していく中で、日本古来の行事食という文脈から、もう一度「米」を見直してほしいという思いが込められているんです。
要するに、伝統行事の精神を大切にしながら、現代の食卓とつなぎ直した。そういう試みの記念日だと感じます。
6月30日が選ばれた理由
一年の折り返しという特別な節目
6月の末日は一年前半の最終日。ちょうど年の真ん中にあたる、節目の日です。
この日に「ここまでの半年の穢れ(けがれ)をリセットして、残り半年を健康に過ごしたい」という願いを込めるのは、なんとも日本人らしい発想だなと思います。
「夏越の祓」が6月30日に行われる理由
「夏越の祓(なごしのはらえ)」は古来より毎年6月30日に全国の神社で行われる神事です。
12月の大晦日に行われる「年越しの祓」と対になっていて、「夏越しの祓」と「年越しの祓」の2回が、一年の大きな区切りとして位置づけられてきました。
神社では「茅の輪(ちのわ)くぐり」が行われ、参拝者が茅(ちがや)や藁(わら)で作られた大きな輪を、「8の字」を描くように3回くぐりながら罪や穢れを祓います。
そのとき唱えるのが「水無月(みなづき)の夏越(なごし)の祓(はらえ)する人は千歳(ちとせ)の命のぶというなり」という言葉で古くから受け継がれてきた祈りのことばなんです。
夏越の祓の由来と歴史
1000年以上前の神話が出発点
茅の輪くぐりの由来は奈良時代に編纂された「備後国風土記(びんごのくにふどき)」の逸文(いつぶん)に記されています。
これが日本に残る最も古い「蘇民将来(そみんしょうらい)」の説話とされていて、内容はこんな感じです。
むかし、旅の途中で日が暮れた武塔神(たけはやすさのをのみこと、スサノオと同一視される)が一晩の宿を求めた。
裕福な弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は旅人の薄汚い姿を見て宿を断ったのに対し、貧しい兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は粗末な粟飯と藁の布団で心を込めてもてなした。
後日、素盞嗚尊が再び訪れ、そのお礼として蘇民将来の家族に茅の輪を授け、「腰に着けていれば疫病を免れる」と伝えた。という話です。
実はこの説話、最初の頃の茅の輪は「腰につける小さなもの」だったみたいです。
それが時代を経るにつれてだんだん大きくなり、人がくぐれるほどの輪になっていったとされています。…なんかそのスケールアップぶり、ちょっとおもしろいですよね。
粟飯をもてなしたことが「夏越ごはん」のルーツ
この神話で蘇民将来がスサノオを「粟飯(あわめし)」でもてなしたことが、現代の「夏越ごはん」の直接的な原点です。
1000年以上前の説話が、現代の行事食のレシピにまでつながっているというのが、改めて考えると意外と感動的だなと思います。
夏越ごはんとは?食べ方と構成
基本的な形
夏越ごはんはひと言で言えば「かき揚げ丼」です。
ただのかき揚げ丼ではなくそれぞれの食材に意味が込められているところが大事なポイント。
- 雑穀ごはん(または白いごはんも可)
蘇民将来が粟飯でもてなした伝承にならい、粟や豆などを入れた雑穀ごはんがベース。五穀豊穣の願いも込められていて、食物繊維やミネラルも豊富 - 丸いかき揚げ
茅の輪をイメージして丸い形にする。赤や緑の夏野菜(きゅうり、なす、人参、パプリカ、しそ、オクラなど)を使い、邪気を祓う意味を持つ色を取り入れる - しょうがを効かせたおろしだれ
ショウガは「百邪を防ぐ」といわれる食材。夏の暑さに負けない体づくりにも一役買う
アレンジも自由
公式サイトでは毎年新しいレシピが公開されていています。
ガパオ風にアレンジしたものや、雑穀を使った洋食風のものなど、意外と幅広い展開があるんです。
「絶対にこの具材じゃないとダメ」
というルールはなくて、夏野菜を丸い形で使うという考え方さえ押さえれば、かなり自由に楽しめるみたいです。
夏越ごはんを食べる健康的な理由
梅雨明けのタイミングに体を整える
6月30日は梅雨の終わりと夏本番の始まりが重なる時期。
体にとって、気候の変化が激しくてかなりしんどいタイミングですよね。そんな時期に、栄養価が高い雑穀と夏野菜を一緒に食べることには、実はちゃんとした栄養学的な理由もあります。
雑穀ごはんには食物繊維が豊富、腸内環境を整える効果が期待できます。
赤や緑の夏野菜にはビタミン類が多く含まれていて、免疫力をアップさせて暑い夏を乗り切るためのメニューとして、栄養面でも理にかなっているんです。
昔の人が行事食として食べてきたものには季節に合った「食の知恵」が詰まっているというか……、改めて考えるとすごいことだなと感じます。
まとめ
この記事のポイントをざっくりおさらいするとこんな感じです。
- 夏越ごはんの日は6月30日。公益社団法人・米穀安定供給確保支援機構が2015年に制定した記念日
- ルーツは1000年以上前の「備後国風土記」に記された蘇民将来の説話。蘇民将来が粟飯でスサノオをもてなしたことが、夏越ごはんの直接的な原点
- 6月30日に全国の神社で行われる「夏越の祓」とセットで考えると、より深く意味がわかる
- 夏越ごはんの基本形は「雑穀ごはん+丸いかき揚げ+しょうがおろしだれ」。それぞれの食材に厄除けや健康への祈りが込められている
- 栄養面でも夏を乗り切るのにぴったりの構成で行事食として理にかなっている
6月30日、今年は神社で茅の輪くぐりをして、夜に夏越ごはんを作ってみる。そんな一日の過ごし方、なかなかいいかもしれません。

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