毎日3回も手にしているのに意外とその成り立ちを知らない道具ってありますよね。
この記事を読めば箸の日がいつでなぜ生まれたのか、そして箸そのものが日本にどう根づいてきたのかが、すっきり分かると思います。
「語呂合わせでしょ?」くらいの認識だった方も読み終わる頃には誰かに話したくなるはずです。
普段なにげなく使っている箸。
でも8月4日が近づくたびに「あれ、これって何の日だっけ」と調べている方、けっこう多いんじゃないでしょうか。
私も飲食業で働いていた時期があって、割り箸の発注や補充を毎日のようにやっていたんですが、恥ずかしながら箸の日の由来をちゃんと説明できたのは働き始めて数年経ってからでした。
あの頃の自分に教えてあげたい気持ちで、今回まとめてみます。
箸の日はいつ、なぜ8月4日なのか
まず結論から言うと箸の日は毎年8月4日です。理由は驚くほどシンプルで、拍子抜けするかもしれません。
「は・し」の語呂合わせが由来
8月4日という日付は8を「は」、4を「し」と読ませる語呂合わせから来ています。
「箸」という漢字の読みそのままなんですよね。
こういうシンプルな語呂合わせの記念日って日本にはたくさんありますけど、箸の日はその中でもかなり分かりやすい部類だと思います。
ちなみに塗り箸の一大産地である福井県小浜市でも同じような語呂合わせで独自の記念日を制定しているそうです。
地域ごとに箸への思い入れがあるんだなと、ちょっと嬉しくなる話ですよね。
制定した団体は実は2つ存在する
ここ、意外と知られていないポイントなんですが箸の日の制定には2つの流れがあります。
ひとつは1975年(昭和50年)、「箸を正しく使おう」という民俗学研究者の提唱を受けて、割り箸組合が制定したというもの。
もうひとつは愛知県名古屋市の箸専門商社である株式会社藤本商會本店が制定した記念日で、こちらは2014年(平成26年)に一般社団法人日本記念日協会によって正式に認定・登録されています。
日付は同じ8月4日なんですが、由来となった団体が違うというのは面白いですよね。
おそらく、もともと民間で広まっていた「箸の日」という慣習を、後から藤本商會本店が改めて記念日として申請・認定を受けたという流れなんじゃないかなと個人的には推測しています。
ただこのあたりの経緯を詳しく説明している一次資料は見当たらなかったのであくまで私の見立てです。
ちなみに藤本商會本店は愛知県豊橋市の龍拈寺に「箸塚」という石碑を寄贈していて、毎年8月4日に古い箸を供養する「箸供養」を30年以上続けているそうです。
箸の日にはどんな行事が行われるのか
箸の日には全国各地の神社などで箸への感謝を捧げる行事が開催されます。
ただの記念日で終わらず、実際に「行われている」というのが箸の日らしいところだと思います。
日枝神社の箸感謝祭
最も有名なのが東京・赤坂にある日枝神社で行われる「箸感謝祭」です。
ここでは長さ1メートルほどもある大きな箸を神前に供えて、参列者が持ち寄った使い古しの箸を浄火で焚き上げる催しが行われます。
延命長寿や無病息災を祈願する意味合いもあるそうでただの感謝祭というより、けっこう宗教的な色合いも強いイベントなんですよね。
英語圏の記事でも「約100人が日枝神社に集まり、健康を祈願して7000膳もの箸を投げ入れる」といった紹介がされていて、海外からも一種の文化行事として注目されているのが印象的でした。
各地の神社や寺院でも独自の行事
日枝神社以外にも奈良の吉野杉箸神社での箸感謝祭や、徳島の箸蔵寺での箸供養など、日本各地で箸にちなんだ行事が行われています。
また南魚沼市の一宮神社や宮崎の都農神社などでは、箸の日に限らず年間を通じて箸に関連したお祭りが催されているようです。
箸って本当に道具というより、ある種「魂が宿るもの」として扱われてきた文化があるんだなと調べていて感じました。
実際、古くから使った人の霊が箸に宿るという言い伝えもあって、むやみに捨てると良くないとされていた地域もあるみたいです。
箸折峠の伝説なんかもその名残なんでしょうね。
箸そのものの歴史はどこまで遡れるのか
箸の日を知る上で欠かせないのがそもそも箸という道具自体がいつからあるのかという話です。ここが実はけっこう奥深くて、調べれば調べるほど面白かったです。
起源は中国、原型は調理道具だった
箸のルーツをたどると中国にたどり着きます。
紀元前14世紀頃の殷の遺跡からはすでに青銅製の箸が発見されているそうです。
ただ当初の用途は今のように食事をするためのものではなく、調理用の「竹のトング」のようなものから派生したと考えられているとのこと。
つまり最初から「食べる道具」だったわけではなく、料理を作る過程で使われていた道具がだんだん食卓にも上がるようになったという流れみたいですね。
この事実、意外と知らない人が多いんじゃないでしょうか。
日本への伝来は6〜7世紀、聖徳太子がキーパーソン
日本に箸が伝わった時期については資料によって多少表現の幅がありますが、6世紀中頃に仏教とともに百済から伝来したという説や弥生時代の遺跡からすでに「折箸」と呼ばれる原始的な箸が見つかっているという説があります。
ただ、今のような食事用の箸の形が広まったのは607年、遣隋使として中国に渡った小野妹子が持ち帰った箸と匙のセットがきっかけだとされています。
この作法を宮廷の儀式で初めて取り入れたのが聖徳太子だと言われていて、歴史の授業で聞いた名前がこんなところで登場するとは思わなかったので、調べていてちょっと驚きました。
庶民に箸食が広まったのは8世紀
当初は貴族だけの特権的な食事作法だった箸食ですが、8世紀初頭になると「箸食制度」として一般庶民にも推奨されるようになり、日本全国に箸を使う文化が広まっていったとされています。
手づかみで食べていた時代から箸を使う時代への転換って、今の私たちからすると当たり前すぎて意識しないですけど、当時としてはかなり大きな生活習慣の変化だったはずですよね。
まとめ
箸の日について、来から歴史まで一気に振り返ってみました。最後に要点を整理しておきますね。
- 箸の日は毎年8月4日で「8(は)4(し)」の語呂合わせが由来
- 1975年に割り箸組合が制定したという説と、藤本商會本店が制定し2014年に日本記念日協会が認定したという説の2つの流れがある
- 東京・日枝神社の箸感謝祭をはじめ、全国各地の神社や寺院で箸供養の行事が行われている
- 箸の起源は中国、紀元前14世紀の調理道具にまで遡る
- 日本への本格的な伝来は607年の遣隋使小野妹子がきっかけとされ、聖徳太子が宮廷儀式で採用した
普段何気なく手にしている箸にこんな長い歴史と2つの記念日が隠れていたなんて、ちょっと感慨深いものがありますよね。
8月4日はいつもより少し丁寧に箸を持ってみるのもいいかもしれません。
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