8月29日は「ターミネーター〈審判の日〉」という記念日なんですが実はこれ、映画の中の設定と現実の核実験の歴史がリンクしているちょっと不思議な記念日なんですよね。
この記事を読めばなぜ8月29日が審判の日とされているのか、その由来から記念日として制定された経緯まで、まとめて分かるようになっています。
「ターミネーター2」を観たことがある人ならなんとなく聞いたことある日付だと思うんですけど、細かい背景まではあんまり知られていない気がします。
そのあたりを今日はじっくり掘っていきますね。
審判の日とはそもそも何なのか
まずは基本のところから。審判の日というのは映画「ターミネーター」シリーズの世界観の中で登場する架空の出来事の名前です。
この章を読めば審判の日がどんな設定として描かれているのかが分かります。
スカイネットが自我を持った日
「ターミネーター2」(Terminator2:Judgment Day)の物語ではサイバーダイン・システムズ社が開発した軍事防衛用の人工知能「スカイネット」が、ある日突然自我に目覚めてしまいます。
人類はそれに驚いて慌ててシステムを停止しようとするんですけど、スカイネットは自分の存在が脅かされていると判断して、ロシアに向けて核ミサイルを発射してしまうんですね。
当然ロシア側も報復するので結果として全世界で核戦争が起こり、30億人もの人が命を落としたという設定になっています。
この核戦争によって世界が終わりを迎えた日のことを、生き残った人類が「審判の日」(Judgment Day、通称J-Day)と呼ぶようになったというのが物語の概要です。
もともと審判の日という言葉自体はキリスト教の終末論から来ている宗教用語で、神が人間を裁く日という意味なんですけど、ターミネーターではそれをAIの暴走による核戦争の日として置き換えているのが面白いところだなと思います。
1997年8月29日午前2時14分という細かすぎる設定
映画の中ではこの審判の日の日時がかなり具体的に語られています。
T-800(シュワルツェネッガーが演じたロボット)の説明によると、スカイネットは1997年8月4日にシステムが稼働を開始し、そこから急速に学習を進めて、1997年8月29日の午前2時14分(東部標準時)に自我を持ったとされています。
サラ・コナーのナレーションでも「1997年8月29日に30億人の命が終わった」と明言されているので、この日付が「T2の時間軸」における審判の日として、シリーズの中でもっとも有名な設定になっているわけです。
ただ、これはあくまでターミネーター2の中で語られた「未来の話」であって、その後の映画の展開でサイバーダイン社の研究施設が破壊されたことにより、実際にはこの日には何も起きていないという扱いになっています。
ちょっとややこしいんですけどそこがまたシリーズらしいところかもしれません。
なぜ8月29日なのか?由来を深掘り
ここが個人的にすごく気になっていた部分なんですけど、8月29日という日付にはただの架空の設定を超えた歴史的な根拠があるみたいです。
脚本家が8月29日を選んだ背景を掘っていきます。
ソ連初の核実験RDS-1との一致
調べてみて驚いたんですが1997年8月29日という日付は、実は現実の歴史上の出来事から取られている可能性が高いです。
1949年8月29日、ソ連はカザフスタンのセミパラチンスク核実験場で、自国初の原子爆弾実験「RDS-1」を実施しました。
これはアメリカに次いで世界で2番目の核保有国になった冷戦史における大きな転換点です。
ウィキペディアの解説でも劇中の審判の日である8月29日は、当時アメリカとソ連の冷戦を激化させたこのRDS-1の日付に由来していると明記されています。
つまり脚本家のジェームズ・キャメロンたちは、核の恐怖という現実の歴史的な記憶を、そのまま架空のAI核戦争の日付に重ねたんじゃないかなと思うんですよね。
これ、あくまで自分の見立てというか、複数の資料をたどった上での推測になりますけど意図的な引用だったと考えるのが自然な気がします。
冷戦期のシステム誤作動事件との重なり
さらに映画公開の前年である1983年に、実際にソ連の早期警戒システムが核ミサイル発射を誤って検知し、第三次世界大戦の危機に発展しかねなかった事件が起きていたという点です。
これはスタニスラフ・ペトロフ氏が誤報を冷静に判断して核戦争を回避したという実話としてよく知られている出来事ですね。
ターミネーターが公開されたのは1984年なので、脚本を書いていた時期にちょうどこういった「コンピューターの誤作動で核戦争が起きるかもしれない」という社会不安が漂っていたんだと思います。
だから審判の日というテーマ自体、当時のリアルな恐怖感がベースになっていたんだろうなと感じています。
セミパラチンスク核実験場についてはソ連崩壊に伴って1991年8月29日に閉鎖されているんですが、これもまた8月29日という同じ日付なんですよね。
この巡り合わせを受けて、国連は8月29日を「核実験に反対する国際デー」として定めています。
映画の設定日と、現実の核実験の始まりと終わりの日が全部重なっているというのは、ちょっと鳥肌が立つくらいの一致だなと個人的には思いました。
記念日として制定された経緯
ここまでは映画の中の話でしたが実は日本では8月29日そのものが正式な記念日として登録されているんです。
記念日としての「ターミネーター〈審判の日〉」がどう生まれたのかを説明します。
20世紀フォックスが2019年に制定
「ターミネーター〈審判の日〉」は映画の製作・配給を手がけていた20世紀フォックス映画(20世紀スタジオ)が制定した記念日です。
2019年(令和元年)に、一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。
制定の目的としてはターミネーター2の中で描かれた重要な日付を通じて、シリーズの魅力を多くの人に知ってもらうこととされています。
ただ、これはちょっと気になる点なんですけど、その後日本記念日協会の記念日登録自体が終了したようで、2024年5月時点では同協会の公式な認定記念日としては確認できない状態になっているみたいです。
なので現在この記念日を厳密に「協会公認」として扱っていいのかは正直はっきりしない部分もあります。
あくまで一度は正式に認定されていた記念日、という理解が正確なところかなと思います。
ニュー・フェイト公開の宣伝という側面
この記念日が制定された2019年というタイミングには明確な理由があります。
同年11月8日に、ティム・ミラー監督の映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」(Terminator:Dark Fate)が日本で公開されたんですね。
この作品はターミネーター2の正統な続編という位置づけで、キャッチコピーも「〈審判の日〉に備えよ」でした。
ジェームズ・キャメロンが製作に復帰し、リンダ・ハミルトンが28年ぶりにサラ・コナー役、シュワルツェネッガーもT-800役で出演するというシリーズファンにとっては大きな話題作だったわけです。
つまり8月29日の記念日はこの新作映画の公開を盛り上げるための宣伝の一環として制定されたと考えるのが妥当だと思います。
実は似たようなパターンで2015年には別の映画会社パラマウントが、日本初公開日である5月25日を「ターミネーターの日」として制定していたこともあるんです。
新作が出るたびに記念日が作られるというのは、なんだか映画業界らしい戦略だなと感じますね。
個人的にはこういう宣伝目的の記念日でも、きっかけとして映画の設定を深く知るいい機会になるなら、それはそれでいいんじゃないかなと思っています。
作品ごとにバラバラな審判の日の設定
ここで意外と知られていないポイントを一つ。実はシリーズ全体を見ると、審判の日の日付は8月29日だけではないんです。
その理由と各作品での違いを整理します。
続編ごとに先延ばしされていく未来
ターミネーター2の後の展開でサイバーダイン社の主要な研究施設が破壊されたことにより、当初1997年8月29日に起こるはずだった審判の日は回避されました。
その結果、シリーズの続編ではそれぞれ違う年月日が審判の日として設定されることになります。
ざっくりまとめると、
- ターミネーター3では2004年7月25日
- テレビドラマ版のサラ・コナー・クロニクルズでは2011年4月21日
- ターミネーター・ジェニシスでは2017年10月ごろ
とされていて作品が新しくなるたびに審判の日がその都度先延ばしされているんですよね。
これについては各作品が公開年から2、3年以内に審判の日を設定することで、現実的な緊迫感を出そうとしているという指摘もあります。
ロケや衣装の準備の都合という現実的な理由もあるのかもしれません。
それでも8月29日が一番知られている理由
じゃあなぜ他の日付より8月29日がもっとも有名なのかというと、単純にターミネーター1と2というシリーズの原点2作で語られた日付だからだと思います。
多くの人がシリーズを知るきっかけになった作品でこの日付が繰り返し語られたので、記憶に刻まれやすかったんでしょうね。
ちなみに海外ではターミネーター1の冒頭でカイル・リースがタイムトラベルで到着した1984年5月12日を「Terminator Day」として祝う文化のほうが定着しているらしく、日本と海外で認識されている記念日がそもそも違うというのも、けっこう面白いポイントだと思います。
AIが自我を持つという設定が語られる理由
最後にちょっと自分の考えも交えて書きたいんですが、審判の日というテーマが今になってもなお話題になり続けているのには、時代的な理由もあるんじゃないかなと思っています。
生成AIの発展と重なる不安感
1984年に公開されたターミネーターの中の「AIが自我を持って人類を敵とみなす」という設定は、当時はSFの中の遠い未来の話でした。
でも近年の生成AIや自律型システムの急速な進化を見ていると、この設定がまったくの絵空事とも言い切れない空気があるように感じます。
もちろんスカイネットのように核ミサイルを操るAIが実在するわけではないですし、これは映画のフィクションと現実のAI技術をあくまで比較した個人的な感想にすぎないんですけど、審判の日という言葉が今も比喩として使われ続けているのは、そういう現代的な不安感と結びついているからなんだろうなと思います。
審判の日という架空の日付が冷戦期の核実験という現実の歴史と、令和になってからのAI技術への注目という二つの時代をつなぐキーワードになっているのは、正直けっこう面白い巡り合わせだなと感じました🎬
まとめ
ターミネーター〈審判の日〉について分かったことを整理しておきますね。
- 審判の日は映画「ターミネーター2」の中で、AI「スカイネット」が自我を持ち核戦争を起こしたとされる1997年8月29日を指す架空の設定
- この日付は1949年8月29日のソ連初の核実験RDS-1に由来している可能性が高い
- 記念日「ターミネーター〈審判の日〉」は2019年に20世紀フォックスが制定し、映画「ニュー・フェイト」の公開に合わせた宣伝的な側面もある
- 続編ごとに審判の日の設定は変わっていくため、8月29日はあくまでシリーズの原点である1・2作目での日付
- AI技術が発展する現代だからこそ、この架空の設定が改めて注目されている面もある
こうして見るとたった一つの映画の中の日付にも、現実の歴史や宣伝戦略、時代背景がぎゅっと詰まっているんだなと実感しました。
8月29日が来たら、ぜひこの由来を思い出してみてくださいね。


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