この記事を読めば9月30日が「クレーンの日」に定められた由来や、その裏にある歴史的な経緯までしっかり分かるようになりますよ。
毎年何気なくニュースで見かける記念日だけど、実はけっこう複雑な統合の歴史があったりして、調べてみると案外奥深いんです。
クレーンの仕事に関わる方も単純に雑学として知りたい方も、読み終えたころには「へえ、そうだったんだ」と思ってもらえるはずです。
クレーンの日の基本情報
ここを読むとクレーンの日がいつ誰によって定められたのか、基本的な枠組みがつかめます。
制定日と主催団体
クレーンの日は毎年9月30日です。
一般社団法人日本クレーン協会と公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会が1980年(昭和55年)に共同で制定しました。
この二つの団体はそれぞれクレーンや移動式クレーン、ボイラといった重量物を扱う機械の安全確保に取り組んでいる組織で、業界の中でもかなり重みのある存在だと感じています。
日本クレーン協会の公式サイトでは、由来についてこう説明されています。
「一般社団法人日本クレーン協会と公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会は、9月30日を『クレーンの日』と定めて、クレーン等の災害防止の新しい運動を展開することとなった」
とのことです。
つまり単に日付を決めただけじゃなくて、そこから新しい安全運動をスタートさせるという意味合いが込められていたんですね。
目的は災害防止と安全意識の向上
クレーンの日が目指しているのはクレーンや移動式クレーンによる労働災害を防ぎ、現場での安全意識を高めることです。
建設現場や港湾、工場など重量物を吊り上げる作業は一つのミスが大きな事故につながりやすいんですよね。
だからこそ、毎年決まった日に注意喚起をする仕組みが必要とされたんだと思います。
9月30日という日付の由来
ここではなぜ9月30日という特定の日が選ばれたのか、その根拠を掘り下げていきます。
クレーン等安全規則の公布がきっかけ
日付の由来は1972年(昭和47年)9月30日に現行の「クレーン等安全規則」が公布されたことにちなんでいます。
この規則は労働安全衛生法に基づいて制定されたもので、クレーンや移動式クレーン、デリックなどを安全に使うための具体的なルールを定めた法令です。
安全教育や資格制度、検査体制といった今の現場運用の土台になっている部分が、この規則によって整備されました。
労働安全衛生法自体も1972年に制定された法律でそれまでは労働基準法の一部として扱われていた安全衛生に関する規定が、独立した法体系として切り出された年でもあります。
発注者や元請、下請といった重層的な関係性が絡む建設現場の実態にきちんと対応するためには、こうした専門的な法整備が必要だったのだろうと考えられます。
かつて存在した二つの「クレーンの日」
ここが個人的にはいちばん面白いと感じたポイントなんですけど、実はクレーンの日は一つに統一される前、団体ごとに別々の日付で運用されていた時期があったんです。
日本クレーン協会は1967年(昭和42年)に、独自の「クレーンの日」を11月1日と定めていました。
この日付は、1962年(昭和37年)に旧「クレーン等安全規則」が施行された日にちなんだものです。
一方でボイラ・クレーン安全協会はこれとは別に6月6日を自分たちの「クレーンの日」として広報活動を行っていました。
同じ業界の中で同じ名前の記念日が二つ存在してしまっていた状態ですね。
ちょっと不思議な状況だなと思いますが、当時はそれぞれの団体が独立して安全運動を展開していた経緯があったからなのでしょう。
労働省の勧奨による統一
この二つの日付が並存していた状態に対して両協会を所管していた労働省(現在の厚生労働省)から統一するよう勧奨があったとされています。
そうした背景を受けて、1980年(昭和55年)に日本クレーン協会とボイラ・クレーン安全協会が協力し、日付を1972年のクレーン等安全規則公布日である9月30日へと一本化しました。
バラバラだった安全運動を一つにまとめてより広く社会に浸透させようとした狙いがあったんだろうなと感じます。
行政からの後押しがあったことで業界全体としての結束が強まったという見方もできそうです。
クレーンの日にまつわる活動
ここを読むと実際にクレーンの日にどんな取り組みが行われているのかが分かります。
全国クレーン安全大会の開催
日本クレーン協会は毎年、クレーンの日に合わせて「全国クレーン安全大会」を開催しています。
2025年には第45回大会が実施され、2026年10月には第46回大会が9年ぶりに大阪で開かれる予定だそうです。
参加費は無料で製造者や使用者が集まって新しい技術について発表する場も設けられているとのことです。
制定から数えて、2024年で45回目、2025年で46回目を迎えているという記録が業界紙にも掲載されています。
長く続いている運動だということが、この回数からも伝わってきますよね。
毎年変わるポスターとスローガン
クレーンの日には毎年公募によってポスター用の写真とスローガンが選考されます。
2024年(第45回)のスローガンは「クレーンで吊るのは荷と責任重みを感じて安全作業」、2025年(第46回)は「吊るす責任支える誇りクレーンが運び確かな安全」でした。
ちなみに令和8年度分もすでに選考結果が公式サイトで案内されているようです。
こうしたスローガンを見ていると、単に「気をつけて」というだけじゃなく、吊り荷を扱う一人ひとりの責任感に訴えかけるような言葉選びがされているのが印象的でした。
クレーンに関わる労働災害の実態
ここではクレーンの日が必要とされる背景にある、実際の災害データを見ていきます。
死傷者数の傾向
厚生労働省の統計によると令和6年(2024年)の労働災害全体の死傷者数は135,718人で、4年連続の増加となりました。
死亡者数は746人で過去最少を更新した一方、休業4日以上の死傷者は増え続けているという状況です。
クレーン等に限定した集計では日本クレーン協会が機種別・業種別に整理したデータがあり、クレーン等全体の死傷者数は1,588人(前年比134人減)、死亡者数は44人(前年比2人減)と報告されています。
数字だけ見ると減少傾向にはあるものの、それでも毎年40人以上の方が命を落としている現実があるというのは、正直けっこう重く受け止めるべきだなと思います。
機種別の災害傾向
機種別に見てみると天井クレーン等による死傷者が755人で全体の47.5%、移動式クレーンが538人で33.9%を占めています。
業種別では製造業が668人(42.1%)、建設業が396人(24.9%)、運輸交通業が212人(13.4%)の順に多いというデータもあります。
天井クレーンのような工場内固定設備での事故が意外と多いというのは、屋外の建設現場をイメージしがちな私にとっては少し驚きでした。
こうした数字を踏まえるとクレーンの日はただの記念日というより、現在進行形で続いている労働災害への警鐘として機能している側面が大きいのだと感じます。
「クレーン」という名前自体の由来
ここを読むとクレーンという機械の名称そのものがどこから来ているのかが分かります。
鳥のツルに似た形が名前の起源
英語の「crane」という単語はもともと鳥のツルを指す言葉です。
長い首と長い脚を持つツルの姿が重量物を吊り上げる機械の長い腕の形とよく似ていたことから、機械の名前として転用されたとされています。
語源をさらにたどると、古英語の「cran」やゲルマン祖語に行き着き、さらに遡るとインド・ヨーロッパ祖語で「かすれた声で鳴く」を意味する語根に由来するという説明もあります。
ツルの鳴き声を表す言葉が、鳥の名前にも機械の名前にも使われている、というのはちょっと面白い巡り合わせだなと思いました。
機械としてのクレーンの歴史はかなり古い
機械としてのクレーンの起源は古代メソポタミアで紀元前3000年ごろに発明された「シャドゥーフ」という水を持ち上げる装置にまで遡るとされています。
その後、建築用のクレーンは古代ギリシャで紀元前6世紀ごろに登場し、人力や動物の力を使って建物の建設に利用されていました。
ローマ帝国の時代には人が中に入って回すトレッドホイール式のクレーンが発達し、より重い物を持ち上げられるようになったという記録も残っています。
日本語の「クレーン」という言葉自体は、の英語をそのまま音訳した外来語です。
長い歴史を持つ機械の名前がそのまま日本の記念日の名称にもなっているというのは、あらためて考えるとなかなか感慨深いものがありますね。
まとめ
クレーンの日についてここまでの内容を整理しておきますね。
- クレーンの日は毎年9月30日で日本クレーン協会とボイラ・クレーン安全協会が1980年に制定した
- 日付は1972年9月30日に現行のクレーン等安全規則が公布されたことにちなむ
- かつては11月1日と6月6日という二つの別々のクレーンの日が存在していたが、労働省の勧奨で統一された
- 全国クレーン安全大会の開催や、毎年変わるポスターとスローガンの選考が主な活動として続けられている
- クレーン等による労働災害は、天井クレーンや移動式クレーンを中心に今も一定数発生しており、安全意識の維持が課題となっている
- 「クレーン」という名称自体は鳥のツルに由来し、機械としての起源は古代メソポタミアまで遡る
9月30日が来たらただのカレンダー上の記念日としてではなく、今も現場で働く方々の安全を支えるための日として少し意識してみると、見え方が変わってくるかもしれませんね。
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