この記事を読めば毎月21日が「漬物の日」に制定された理由や、その背景にある神社の伝説、日本の漬物文化の奥深さまで、ひとつひとつ丁寧に理解できます。
「漬物の日って聞いたことあるけど、なんで21日なんだろう?」
そんなふうに思ったことはありませんか?
実はこの日には1000年以上前にさかのぼる神話的な伝説と、日本の食文化を守ろうとする業界の想いが込められているんです。
漬物の歴史や魅力を知るといつもの食卓にある一品が、ちょっと違って見えてくるかもしれません。
漬物の日は毎月21日
毎月21日は「漬物の日」として定められています。ここでは誰が・いつ・どのような意図で制定したのかを整理します。
全日本漬物協同組合連合会が制定
「漬物の日」を制定したのは全日本漬物協同組合連合会(略称:全漬連)という団体です。
東京都江東区三好に事務局を置き、全国の漬物組合で構成される業界団体で、漬物の魅力や美味しさを広く発信することを目的として活動しています。
全漬連が「毎月21日」を漬物の日として設けたのには、愛知県にある萱津(かやつ)神社の行事が直接の理由になっています。
「漬物を普及させたい」という想いを、神社の伝統的な祭礼に重ね合わせたわけです。なんか神様と食文化が交差する、ちょっとロマンチックな話だなと感じます。
なぜ「21日」なのか
毎年8月21日に愛知県の萱津神社で「香の物祭(こうのものさい)」という漬物のお祭りが行われています。この日にちなんで、毎月21日を「漬物の日」と定めることになったんです。
言ってみれば、8月21日という特別な1日を毎月記念する形に広げたイメージですね。
萱津神社と漬物誕生の伝説
漬物の日の根っこには愛知県の萱津神社にまつわる古い伝説があります。
この章ではその伝説の内容と、神社が持つユニークな役割を紹介します。
日本唯一の「漬物の神様」を祀る神社
愛知県あま市にある萱津神社は国内で唯一、漬物の神様を祀った神社です。
全国に数え切れないほど神社はありますが、「漬物の神」を祀るのはここだけというのが意外と知られていないんですよね。
現在もこの神社の「香の物殿」という小さな社には、カリモリ(愛知特産のウリの一種)やナスなどの野菜が並べられ、神事のあとに参列者が塩と一緒に甕(かめ)に漬け込む「漬込神事」が行われています。
この「香の物祭」はあま市の無形民俗文化財にも指定されており、一般の方も参列できるそうです。
村人の知恵から生まれた漬物
伝説はこんな感じです。
むかしむかし、萱津神社の周辺の村人たちは毎年秋になると豊かな自然の恵みに感謝して、大地から採れる野の初物(野菜)と、海から採れる藻塩(もしお)を初穂として神前にお供えしていました。
ところが、せっかくのお供えが腐ってしまうのを惜しんだ里人が社殿のそばに甕を置いて、その中に供物を入れることを思いつきました。
すると野菜が腐らずに長期間保存できる「漬物」になったのです。
村人はその味を神様からの贈り物だと感じて万病を治すお守りにし、保存食として蓄えるようになったと伝えられています。
これが日本の漬物の始まりとされる言い伝えです。
日本武尊との意外なつながり
この伝説にはさらに驚きのエピソードが続きます。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が萱津神社に立ち寄った際、村人が献上した漬物を食べ、「藪二神物(やぶにこうのもの)」と仰せられたという故事が残っています。
「神の物」と称えるほど喜んだとのことで、漬物への尊称がここから生まれたとも言われています。
その後、尊が熱田の地に祀られてからは熱田神宮の四大祭礼に香の物が献進される慣習が生まれ、現代にまで受け継がれているんです。
歴史の深さを思うとちょっと圧倒される気がします。
漬物の歴史を大づかみで知る
「漬物の日」の由来を知ると漬物そのものの歴史も気になってきませんか?ここでは日本における漬物の大まかな歩みを振り返ります。
縄文時代にルーツがある可能性
漬物の最も古い記録として文献に残っているのは奈良時代とされていますが、実際は縄文時代〜弥生時代の有史以前から存在したのではないかと考えられています。
自然の恵みを長期間保存するために、野菜と塩を組み合わせる知恵は、文字より先に人々の生活に根づいていたのかもしれません。
あくまで仮説だけど縄文の人たちも「腐らせたくない」という思いから試行錯誤していたと想像すると、食への執着ってすごいな、とも思います。
平安・江戸時代に花開いた漬物文化
平安時代にはすでに貴族や庶民が日常的に漬物を楽しんでいたとされ、奈良時代や室町時代を経ながら日本各地に豊かな漬物文化が育まれていきました。
ぬか漬けが一般の人々にも食されるようになったのは江戸時代のころで栄養価の高い伝統食として全国に広く普及していきます。
全国には現在、600種類以上もの漬物があると言われていて各地域の気候や食材を活かした個性的な味わいが今も受け継がれています。
代表的な漬物と地域の個性
一口に「漬物」といっても素材も製法も千差万別です。ここでは、日本を代表する漬物とその特徴を紹介します。
日本三大漬物とは
日本三大漬物として広く知られているのが以下の3つです。
- 京都の三大漬物(しば漬け・千枚漬け・すぐき漬け)
それぞれ独自の乳酸発酵や素材の持ち味を活かした京都伝統の漬物 - 野沢菜漬け(長野県)
野沢菜を塩漬けにしたもので、長野県に深く根づいた味 - 広島菜漬け(広島県)
大きな葉が特徴の広島菜を塩漬けにした名産品
地域ごとに「その土地でしか生まれ得ない味」があるのが漬物の面白いところだなと個人的には感じます。
ぬか漬けという発酵の傑作
ぬか漬けは米ぬかに塩や水を加えた「ぬか床」に野菜などを漬け込んで作る、日本ならではの漬物です。
乳酸発酵による旨味と酸味がゆっくりと食材に移るのが特徴できゅうり・大根・なすなどがよく使われます。
たくあんも一般的には塩とぬかで漬け込むためぬか漬けの一種とされているんです。
まとめ
- 毎月21日は「漬物の日」で、全日本漬物協同組合連合会(全漬連)が制定
- 由来は愛知県あま市の萱津神社で毎年8月21日に行われる「香の物祭」
- 萱津神社は日本唯一の「漬物の神」を祀る神社で、あま市の無形民俗文化財にも指定
- 漬物の起源は、村人が甕にお供えを入れたことで偶然に発酵・塩漬けが生まれたという伝説に基づく
- 日本の漬物は縄文時代にそのルーツがある可能性があり、全国に600種類以上が存在する
「漬物の日」(毎月21日)にはぬか漬けや梅干しを食べながら、萱津神社の伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
いつもと同じ一品が少しだけ特別に感じられると思いますよ。
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