この記事を読めば「生命・きずなの日」がどんな記念日なのか、どういう背景で生まれたのか、そして臓器移植の現状までひとつひとつ理解できます。
5月17日、ふだんの暮らしの中では通り過ぎてしまいそうな日付ですよね。
でも実は誰かの命が誰かの命を繋いできた歴史が、この日にはぎゅっと詰まっています。
臓器移植について「自分にはまだ関係ないかな」と思っている方にこそ、読んでほしい内容なんです。
生命・きずなの日とは
5月17日は「生命・きずなの日」と呼ばれる記念日です。
臓器提供者(ドナー)の家族で作る「日本ドナー家族クラブ(JDFC)」が2002年(平成14年)に制定し、日本記念日協会によって認定・登録されています。
生命の大切さそして人と人との絆について考えることを目的とした日で、ドナーとその家族への社会的理解を深めることも大切な目標のひとつ。
意外と知られていないんですがこの記念日は「移植を受けた側」ではなく、「提供した家族の側」が声を上げて作ったという点が、とても印象深いところだと思います。
日付の由来 語呂合わせと季節感の掛け合わせ
「なんで5月17日なの?」と思う方もいるかもしれません。日付には二つの理由があります。
まず5月は新緑の候で生命が萌え立つ季節という意味合いから選ばれました。
そして17日は「ド(10)ナー(7)」という語呂合わせ。この二つの掛け合わせで、5月17日が「生命・きずなの日」になったわけです。
シンプルな語呂合わせに見えるんですが緑が眩しい5月という季節設定も含めて、生命の息吹を感じる日として意図的に選ばれているのが、なんか好きだなと思うんですよね。
「ギフトオブライフ」という精神
「生命・きずなの日」の根底にあるのはギフトオブライフ(Gift of Life)という考え方です。
臓器提供とはドナー自身が自らの命の一部を他者に渡し、新たな生命を吹き込む決断であること。それは単に医学的な手続きを超えた、無償の愛の表れとして語られています。
ドナーとその家族の決断がどれほどの勇気を必要とするものか、想像するだけで胸が詰まる感じがします。そ
の重みを社会全体で受け止めましょう、というメッセージがこの記念日には込められているんです。
日本ドナー家族クラブ(JDFC)とは
この記念日を作ったJDFCとは実際にドナーの家族として臓器提供を経験した方々が集まった団体です。
設立のきっかけとして、1984年当時5歳だった子ども(忠孝君)が脳死状態となり、心停止後に腎臓を提供したご家族が「ドナー家族の心のケアとサポート」を目的として、この組織の礎を作ったとされています。
愛する家族を失いながらもその命を誰かに繋いだ方々が集まって作った団体だということ。
それだけ知っても、この記念日への見方が変わるんじゃないでしょうか。
臓器移植法の歴史と改正のあゆみ
「生命・きずなの日」を理解するためには日本の臓器移植法の歴史も知っておく必要があります
。ここでは法整備の流れをざっくりおさらいします。
1997年 臓器移植法の施行
1997年(平成9年)10月16日、「臓器の移植に関する法律(臓器移植法)」が施行されました。
これにより、脳死後の「心臓・肺・腎臓・肝臓・膵臓・小腸」などの臓器提供が法律上可能に。
でも当時は本人の書面による意思表示と家族の承諾が両方必要だったので、臓器提供数はほとんど増えず、年間提供者数は一桁前後が続いていました。
そのため当時、小さな心臓の移植を必要とする子どもたちの多くが、海外へ渡航して移植を受けるしかなかったという現実があります。
2002年 「生命・きずなの日」制定
そうした背景の中、ドナー家族として臓器提供を経験した方々が、社会に対して声を届けようと制定したのが「生命・きずなの日」です。
法律が整っても理解が社会に根付かなければ意味がない。
ある意味でこの記念日は法律では届かない「心の部分」に働きかける取り組みとして生まれたのかもしれません。
2010年 改正臓器移植法の全面施行
2010年(平成22年)7月17日、改正臓器移植法が全面施行されました。
この改正の最大の変更点は本人の意思が不明な場合でも家族の書面による承諾があれば脳死下の臓器提供が可能になったこと。
さらに、それまで15歳未満からの脳死臓器提供は認められていなかったのですが、この改正により年齢制限が撤廃されました。
海外渡航移植を余儀なくされていた子どもたちにとって、大きな転換点になった改正です。
現在の臓器移植をめぐる状況
「生命・きずなの日」が制定されてから20年以上が経ちますが、日本の臓器移植の現場は今どうなっているんでしょうか。
移植を待つ人の数
2025年3月31日時点で臓器移植を希望して待機中の人は「心臓809名・肺627名・肝臓470名・腎臓14,721名」など、合計16,824名にのぼります。
それだけ多くの人が誰かの決断を待っているのが現実です。
しかも待機中に亡くなってしまう方も少なくないというのが、改めて重く感じるところ。
数字として見ると問題の大きさが伝わってきますよね。
参考:https://www.jotnw.or.jp/files/page/about/finance/24hokoku.pdf
意思表示をしている人の割合
うれしいことに最近は少し動きが変わってきているみたいです。
内閣府の世論調査(2025年発表)によると、臓器提供に関して「意思を表示している」と回答した人が20.9%に達し、2021年の約10%から倍増しました。
マイナンバーカードへの意思登録や健康保険証の変更といった制度的な変化が、人々の意識を変えるきっかけになっているようです。
インターネットによる意思登録者数も2024年度は前年比で約4,000名増えており、2025年3月末時点で176,194名が登録しています。

生命・きずなの日が伝えていること
「生命・きずなの日」は単に臓器移植を促進するだけの記念日ではありません。
ドナーとなった方の決断、そしてその家族が抱えてきた悲しみと誇りの両方を、社会が忘れないようにするための日でもあるんです。
「生命の絆を考える日」として毎年この時期が来るたびに、誰かが誰かのために選んだ決断のことを、少しだけ立ち止まって思いめぐらせる。
そんな時間があってもいいかなと感じます。
自分ができること
難しく考えなくていいんです。今日できること、いくつかあります。
- ドナーカード(臓器提供意思表示カード)を手に取ってみる(市区町村窓口・コンビニ・運転免許センターで入手可能)
- マイナンバーカードに意思登録する(マイナポータルからアクセス可能)
- 家族と臓器提供について話し合ってみる(本人だけでなく、家族の理解も大切)
カードを作るかどうかより先に「提供したい・したくない」どちらの意思でも、家族に伝えておくことが一番意味があることかもしれません。
まとめ
- 「生命・きずなの日」は毎年5月17日、日本ドナー家族クラブ(JDFC)が2002年に制定した記念日
- 日付は「新緑の5月+ド(10)ナー(7)の語呂合わせ」に由来
- 臓器提供者(ドナー)とその家族への理解を深め、生命の絆について考えることが目的
- 臓器移植法は1997年施行・2010年改正という歴史がある
- 2025年3月末時点で16,824名が移植を待ち続けている
- 意思表示をしている人の割合は増加傾向にあり、2025年調査で20.9%を記録

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