この記事を読めば「夏ほうれんそうの日」がなぜ6月6日なのか、誰がどんな目的で制定したのか、そして岐阜県・飛騨地域との深い関係までわかります。
「え、ほうれんそうって冬の野菜じゃないの?」
と思っている方、それは半分正解で半分そうでもないんです。
この記事では意外と知られていない「夏ほうれんそう」の世界を掘り下げていきます。
夏ほうれんそうの日とは
この記念日の概要を一言で言うと岐阜県のJAが制定した、夏に採れるほうれんそうを広くPRするための記念日です。
制定したのは誰?
「夏ほうれんそうの日」は全国農業協同組合連合会岐阜県本部(JA全農岐阜)が制定した記念日です。
日本記念日協会(長野県)に申請し、正式に登録を受けています。登録証授与式は2026年5月27日に岐阜市内で行われ、同協会からJA全農岐阜へ登録証が授与されました。
6月6日になった理由
日付が6月6日になった理由は、実はふたつ重なっています。
ひとつ目は6月が夏ほうれんそうの生育に適した時期であること。気温がまだ上がりきらず、雨も多いこの時季が、ほうれんそうにとって絶好の生育条件になるんです。
ふたつ目は6を「リョク(緑)」と読む語呂合わせ。6が重なる6月6日で、ほうれんそうの鮮やかな緑色をイメージしているわけです。
しかも飛騨地域では6月上旬がまさに出荷のピークにあたります。要するに語呂合わせと実際の出荷時期がきれいにリンクしているんですよね。
JA全農岐阜の記念日シリーズ
実はこれ、JA全農岐阜にとって初めての記念日制定じゃないんです。
2024年には8月8日「夏トマトの日」をすでに登録していて、今回の「夏ほうれんそうの日」(6月6日)と「夏だいこんの日」(7月11日)は、その第2弾・第3弾にあたります。
岐阜の夏野菜を一つひとつ記念日にしていくというけっこう熱心な取り組みだなと感じます。
飛騨地域と夏ほうれんそうの関係
なぜ岐阜県、それも飛騨地域のJAがこの記念日を制定したのか。そこにはこの地域ならではの地理的な背景があります。
全国トップクラスの産地
岐阜県の飛騨地域(高山市・飛騨市・下呂市など)は全国でも有数の夏ほうれんそうの産地です。
標高600〜1,000mの高冷地という環境が、夏でも冷涼な気象条件を生み出していて、暑さに弱いほうれんそうを夏に育てられる珍しい産地になっているんです。
飛騨地域では年間5,400トンの夏ほうれんそうが出荷されていて、飛騨蔬菜出荷組合ほうれんそう部会だけで304名が栽培に携わり、出荷量は約190万ケース(約6,900トン)にも及びます。
夏場には大阪中央卸売市場のほうれんそうのシェアのかなりの部分を岐阜県産(飛騨)が占めているというデータもあります。

雨よけハウス栽培の先駆け
飛騨地域が夏ほうれんそう産地として発展できた背景には雨よけハウスの存在があります。
天井部だけをプラスチックフィルムで覆うこのハウスが、全国に先駆けて飛騨に導入されたのは1970年代(昭和45年頃)のこと。
それからおよそ50年かけて、夏ほうれんそうの一大産地へと成長を遂げてきました。思った以上に歴史のある取り組みなんですよね。
夏でも夜間は気温がぐっと下がる飛騨の気候とこの技術の組み合わせが、産地ブランドを守ってきたわけです。
夏ほうれんそうの栄養と特徴
「夏のほうれんそうって、冬に比べて栄養が少ないんじゃないの?」という疑問、あります。正直なところ、半分は当たってます。
冬採りとの栄養の違い
ほうれんそうのビタミンCは冬採りと夏採りで約3倍の差があるとされています。
具体的にはほうれんそう100gあたりのビタミンC含有量は、冬採りで60mg、夏採りで20mg。植物は低温にさらされると糖やビタミンCを蓄えて細胞を守ろうとするので、寒い季節の方が栄養価が上がるんです。
ただ、「夏ほうれんそうは栄養が少ない」と切り捨てるのは早計です。
鉄分・葉酸・β-カロテン・ビタミンB群は夏採りでも豊富に含まれていて緑黄色野菜として十分に高い栄養価を誇っています。
貧血が気になる方などにとって夏場でも頼れる食材であることは変わりません。
夏でもおいしい理由
飛騨ほうれんそうが「夏でもおいしい」と言われる理由は夜間の気温差にあります。
昼は気温が上がっても、夜になるとぐっと冷える飛騨の気候が、ほうれんそうの葉肉をしっかりと厚く育てます。
スーパーで「飛騨産」と書かれた夏のほうれんそうを見かけたら、ちょっと注目してみてください。
ほうれんそうの歴史と日本への伝来
ここで少し視野を広げてほうれんそうそのものの歴史にも触れておきます。
夏ほうれんそうの日を語る上でこの野菜の来歴を知っておくと背景がより深く理解できるので。
西アジアから日本へ
ほうれんそうの原産地は西アジア(ペルシャ)とされていて、そこから東西に広がっていきました。
東方に伝わったのが中国経由の「東洋種」で根元が赤く葉に切り込みがあるのが特徴。西方に伝わりヨーロッパで品種改良されたのが「西洋種」で、葉肉が厚く丸い葉が特徴です。
日本には17世紀に中国から東洋種が渡来し、江戸時代の井原西鶴の「浮世草子」にも「ほうれんそうのおひたし」として登場するほどの歴史があります。
夏に食べられるようになった経緯
もともとほうれんそうは冷涼な気候を好む野菜で、生育の適温は15〜20度、最高気温25度程度が限界とされています。
だから昔は基本的に冬野菜で、夏に市場に出回ることはほぼなかったんです。
それが変わったのが1970年代に飛騨地域で雨よけハウス栽培が定着してから。
高冷地の地の利に技術が重なって、夏でもほうれんそうが食卓に上るようになりました。
この産地の努力があったからこそ今の「夏ほうれんそうの日」という記念日が生まれる土台ができたとも言えます。
まとめ
- 「夏ほうれんそうの日」は6月6日、JA全農岐阜が制定し日本記念日協会に登録された記念日です
- 6月6日の理由は、6=リョク(緑)の語呂合わせと、6月上旬が出荷ピークであることの2点から
- 記念日登録証授与式は2026年5月27日に岐阜市で行われました
- 飛騨地域は標高600〜1,000mの高冷地で夏でも栽培できる全国トップクラスの産地
- 飛騨地域の年間出荷量は5,400トン(飛騨蔬菜出荷組合全体では約6,900トン)
- 夏採りのビタミンCは冬採りの約3分の1だが鉄分や葉酸などは豊富
- JA全農岐阜はすでに2024年に「夏トマトの日(8月8日)」も制定済みで、岐阜の夏野菜PRを継続的に展開中

コメント