この記事を読めば「麦みそ食文化の日」が6月30日になった理由、その制定に至る背景、そして愛媛県が誇る麦みその歴史と魅力がまるごとわかります。
「麦みそ食文化の日」
って聞いたことありますか?
実は日本の味噌シェアのわずか3.8%しかない希少な発酵食品に関する記念日なんです。知れば知るほど、麦みそという食文化の奥深さに驚かされます。
麦みそ食文化の日とは
6月30日は「麦みそ食文化の日」として2023年に一般社団法人日本記念日協会によって正式に認定・登録された記念日です。
誰が制定したの?
この記念日を制定したのは愛媛県伊予郡松前町に本社を置く義農味噌株式会社(ギノーみそ株式会社)です。
みそや麦みそ、しょうゆなどを製造・販売する1953年創業の老舗メーカーで、愛媛の麦みそ文化を長年支えてきた会社なんですよね。
6月30日になった理由
日付には、ちょっと粋な語呂合わせが込められています。
「む(6)」が麦の「む」を表し、「30日(みそか)」が全国味噌工業協同組合連合会が毎月30日を「晦日みそ(みそかみそ)の日」としていることにちなんでいます。
つまり、「麦」と「みそ」を日付に落とし込んだ覚えやすい記念日なんですね。
なぜこの記念日を作ったの?
実はコロナ禍がきっかけでした。
コロナ禍で麦みそを製造する会社が減ったり、主原料のはだか麦が在庫過剰になったりと、産業全体が大きな打撃を受けたんです。そ
んな状況の中で、「麦みそをもっと世間に知ってもらう方法はないか」と考えた結果が、記念日の登録でした。
甘くて滋味豊かな麦みその食文化を守り、後世に伝え、発展させることが記念日の目的です。
記念日登録後には複数のみそメーカーと共に「麦みそ食文化普及委員会」も発足しています。
麦みそが生まれるまでの歴史
麦みその誕生は意外と古い。
味噌のルーツは奈良時代
味噌の原型となる「醤(ひしお)」が日本に伝わったのは飛鳥時代から奈良時代にかけてのこと。
中国から遣唐使によってもたらされたとされています。
「味噌」という文字が初めて文献に登場したのは平安時代の934年頃、「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」においてとされています。
麦みそが誕生した背景
麦みそが生まれたのは平安時代だと言われています。
この時代、全国的に稲作が広まって米麹を使った米みそが各地で作られるようになる一方、米が取れにくい地域では麦の生産が盛んだったため、麦を使った麦みそが作られるようになったとのこと。
案外、地域の農業事情が食文化を生み出しているんですよね。
愛媛の麦みそが根付いた理由
愛媛で麦みそが主流になったのは江戸時代が大きく関わっています。
当時の農家は米を年貢として納めていたので、自分たちではなかなか食べられなかった。
そこで裏作として麦を育て、食用として味噌に加工したのが愛媛の麦みそ文化の始まりです。
「田舎みそ」とも呼ばれ、庶民の食卓を長年支えてきたまさに生活の知恵の結晶です。
義農作兵衛と麦みその深い縁
「義農作兵衛」。この名前、ご存じですか?
ギノーみその社名の由来になっている人物なんですが個人的にはこのエピソードが一番印象深かったです。
「麦の神様」とも呼ばれる人物
江戸時代の1732年(享保の大飢饉)のとき、松前町筒井に住む農民・義農作兵衛は唯一の食糧であった麦の種を食べずに、飢えで自らの命を落としながらも地域の翌年の収穫を守ったという伝説が残っています。
翌年の農家のために、自分の命よりも種を優先したわけです。
社名に込められた思い
1956年、義農味噌株式会社はこの義農作兵衛の名を社名に取り入れました。
「麦の神様」と形容されるほどの精神を受け継ぎながら、麦みそを作り続けるというブランドの姿勢が、社名にしっかり刻まれているんですよね。
そのことを知ってから麦みそのみそ汁を飲むとなんか味わいが変わる気がします。
愛媛の麦みそが「麦みそ中の麦みそ」な理由
愛媛の麦みそは九州や中国地方西部の麦みそとも一線を画しています。
はだか麦の産地・松前町
愛媛の麦みその主原料は「はだか麦」。松前町を含む愛媛県は全国のはだか麦生産量の約35%を占める日本一の産地で、令和元年産では33年連続生産量日本一を誇っていました。
温暖で降水量の少ない瀬戸内の気候が、高品質なはだか麦の生産に適しているためです。
麦麹の割合が圧倒的に高い
愛媛の麦みそは大豆使用量が少なく、麦麹の割合が極めて高いのが最大の特徴です。
一般的な麦みそより麹の量が多いため、芳醇な香りと上品な甘さが生まれます。
しかも、全国の味噌生産のうち米みそが約8割を占めるのに対し、麦みそ全体のシェアはわずか3.8%ほどという希少さ。
それだけ知られていない食文化だからこそ、記念日で広く発信する意義がある、ということですね。
麦みその健康効果と栄養
麦みそは「おいしいだけじゃない」というのが注目されているポイントです。
β-グルカンの力
麦みそに豊富に含まれるβ-グルカンという水溶性食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ちます。腸
内の善玉菌のエサになるほか、便を柔らかくして便通を活発化させる効果が期待できます。さらに、血中のLDLコレステロール値を下げる働きや食後の血糖値の急激な上昇を抑える働きもあるとされています。
塩分が低めなのも魅力
他のみそと比べると愛媛の麦みそは塩分が低めなのも健康志向の方には嬉しいポイントです。
麦麹由来のアミラーゼ酵素が消化を助け、腸内の善玉菌を活性化させる働きもあるとのこと。発酵食品としての良さと、麦由来の食物繊維の良さが組み合わさった、わりと理にかなった食材だなと感じています。
麦みそ食文化の日の楽しみ方
記念日を知ったら、せっかくなので体験してみませんか?
当日に試したいこと
愛媛県内では6月30日に合わせて麦みそを使ったオリジナルメニューを期間限定で提供する取り組みが各地で行われています。
ギノーみそをはじめとする麦みそ普及委員会のメーカーが、全国のスーパーやデパートでも試食販売や麦みそ汁の振る舞い活動を展開してきています。
お家でもいつものみそ汁を麦みそに変えるだけで甘さとまろやかさがぐっと変わります。
九州では豚骨と合わせた「豚汁」にも使われることが多く、愛媛では鯛などの魚介との相性も抜群です。
まとめ
記事の重要ポイントをまとめます。
- 6月30日「麦みそ食文化の日」は、義農味噌株式会社(ギノーみそ)が制定し、2023年に日本記念日協会が認定
- 日付の由来は「む(6)ぎ」+「みそか(30日)=みその日」の語呂合わせ
- コロナ禍での産業ダメージをきっかけに、麦みそ文化を守るために記念日登録が実現
- 麦みその起源は平安時代で、愛媛では江戸時代の年貢文化が麦みそ普及の背景にある
- 社名の由来・義農作兵衛は享保の大飢饉で麦種を守り命を落とした「麦の神様」
- 愛媛のはだか麦は全国生産量の約35%を占める日本一の産地
- 麦みそはβ-グルカンが豊富で腸内環境・コレステロール・血糖値に好影響が期待できる
記念日のことを知ってから改めて麦みそを手に取ってみると、1300年以上続く日本の発酵文化の重さを感じられるかもしれません。
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