この記事を読めば6月15日が「生姜の日」に制定された理由と、その背景にある奈良時代からの伝承がまるごとわかります。
「生姜の日って語呂合わせでしょ?」
と思っていた方、実はそうじゃないんです。
6月15日という日付には奈良時代の奇跡的な伝承が深くかかわっていて、
調べれば調べるほど「なるほど…」ってなる歴史が詰まっていました。
生姜が好きな人はもちろん、「今日は何の日?」と気になった方にもぜひ読んでほしい内容です。
生姜の日とは何か
6月15日の「生姜の日」がどんな記念日なのかまずシンプルに押さえておきましょう。
永谷園が制定した記念日
生姜の日は2009年(平成21年)5月に株式会社永谷園が日本記念日協会に登録・制定した記念日です。
お茶漬けのイメージが強い永谷園ですが、当時は生姜の研究や商品開発にも力を入れていて、生姜の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから制定したんですね。
日付が6月15日なのは語呂合わせじゃなくて、ちゃんと意味のある理由があります。
石川県金沢市にある波自加彌(はじかみ)神社で毎年6月15日に「はじかみ大祭」という祭事が行われているからです。
その歴史的な背景に由来しているというのが個人的にはかなり印象深かったです。
波自加彌神社とはどんな場所か
生姜の日の核心となる場所波自加彌神社についてもう少し掘り下げておきたいと思います。
日本で唯一・香辛料の神様を祀る神社
波自加彌神社(はじかみじんじゃ)は石川県金沢市に位置する神社で日本で唯一、香辛料の神様「波自加彌神(はじかみのかみ)」をお祀りしているという特別な場所です。
無病息災や料理上達の御利益があるとされていて、全国の香辛料関係者から慕われています。
神社の名前にある「はじかみ(薑・椒)」とは、生姜や山椒、わさびなど、噛むと辛い植物の総称です。
現代では「はじかみ」というと焼き魚に添えられた葉生姜をイメージする方も多いかもしれませんが、本来はもっと広い意味合いを持つ言葉なんですよね。

はじかみ大祭と奈良時代の伝承
毎年6月15日に行われる「はじかみ大祭」には奈良時代にまで遡る伝承があります。その内容はこんな感じです。
奈良時代、加賀の国(現在の石川県)で数ヶ月にわたる干ばつが起き、草木は枯れ、人々は命の危機に直面しました。当時の国造(くにのみやつこ)。
今でいえば知事にあたる人物。が波自加彌神社にて身を清めて断食し、必死に雨を祈り続けます。
37日間の断食と祈願の末、満願日に神社の近くから霊水「黄金清水(こがねしょうず)」がこんこんと湧き出し、村人たちは渇きから救われたというのです。
…なんかすごいですよね。これ。37日間も断食して祈り続けるって想像するだけでちょっと怖いくらいの話。
感謝の印として供え物を求めた村人たちでしたが、長期の干ばつで供えられるような作物がほとんどなかった。そんな状況の中、たまたま乾いた土でもたくましく自生していたのが生姜でした。
それを神様へ献じて感謝の祭りを行ったのが、はじかみ大祭のはじまりとされています。だって生姜って、乾燥に強くて、どんな土でもわりと育つんですよね。
そういう生命力が干ばつという絶望的な状況の中でも、人々の命をつなぐ象徴になったんだと思うと、意外と感慨深い話だと感じます。
この奇跡が起きた日として伝えられているのが6月15日。
それがそのまま「生姜の日」の日付の由来になっています。
生姜の古名「はじかみ」の歴史
「生姜」「はじかみ」「しょうが」。実は呼び名の歴史にも面白い流れがあります。
日本への伝来と呼び名の変遷
生姜の原産地は東南アジアとされていてインドや中国では紀元前から医薬・食品として使われてきました。
日本への伝来は諸説ありますが、中国を経由して2〜3世紀頃とも、奈良時代(8世紀頃)とも言われています。
正直、古すぎてはっきり断定できない部分もあるんですが、少なくとも奈良時代には栽培が行われていたことは確かとされています。
日本に伝来した当初は山椒やわさびなどとひとまとめに「はじかみ(根の辛いもの)」と呼ばれていました。
区別が必要なときは「くれのはじかみ(呉の国から来たはじかみ)」とも表現していたようです。中国(呉の国)から渡ってきた植物、という意味ですね。
「しょうが」という呼び名が定着したのは室町〜江戸時代
「しょうが」と呼ばれるようになったのは室町時代から、「生姜」という漢字が使われるようになったのは江戸時代からといわれています。
江戸時代には庶民の間でも料理に使われるようになり、お寿司のガリや生姜焼きなどが食卓に登場してきました。
ちなみに英語のジンジャー(ginger)の語源は「角の形をしたもの」というサンスクリット語からきているそうです。
漢名の「薑(きょう)」には「百邪を強力に防ぐ」という意味があり、古代中国では生姜の香りが邪気を払うとして使われていたという話もあります。なかなかロマンがありますよね。
はじかみ大祭はどんなお祭りか
毎年6月15日に行われる「はじかみ大祭」。生姜の日の直接の由来となったこのお祭りの様子をご紹介します。
全国から600人以上が参加する生姜まつり
はじかみ大祭は「生姜まつり」とも呼ばれ、全国各地の生姜などの香辛料の生産者、食品メーカー、卸・小売業者などが集まります。
高知県の生姜農家さんが毎年現地に足を運んで生姜を奉納しているという実際の記録もあって、業界全体で大切にされているお祭りだということがわかりますね。
神事の中では宮司が神前で清められた生姜湯を飲み干し、その器を叩き割る「直会の儀(なおらいのぎ)」が行われます。
これが個人的にはすごく印象的で、飲み干して割るという行為にどこか清めと感謝の気持ちが込められている感じがして好きです。
その後、参拝客にも清められた生姜湯が振る舞われ、2023年には約600人が参加したとのこと。
生姜の健康効果と旬の時期
生姜の日をきっかけに改めて生姜の力を見直してみるのもいいかもしれません。
ジンゲロールとショウガオールの違い
生姜の体への作用を語るうえで外せないのが、ジンゲロールとショウガオールという2つの成分です。
農林水産省の情報によると、生の生姜に多く含まれるジンゲロールには血行を良くして体を温める働きがあるといわれています。
夏場のむくみ対策や発汗促進に向いているのは、主にこのジンゲロールの作用です。
一方で生姜を加熱したり乾燥させたりすると、ジンゲロールがショウガオールに変化するといわれています。
ショウガオールのほうが体の深部を温める力が強いとされていて、寒い時期や冷え性の方には加熱した生姜が向いているという話もあります。
とはいえ、この辺は研究段階の部分もあるのであくまで参考程度に。
科学的に確認されている効果
109のランダム化比較試験(RCT)をまとめたシステマティックレビューによると生姜には吐き気・悪心の抑制、消化促進、鎮痛作用、抗炎症作用、代謝改善など、幅広い効果が報告されています。
ただ、効果の大きさについては研究によってばらつきがあるので、過信しすぎず上手に取り入れるのがいいかもしれません。
6月15日の「生姜の日」が旬にあたる新生姜の季節とほぼ重なるのも偶然ではないと思います。梅雨の時期に旬を迎える新生姜は、みずみずしくて辛みが穏やか。
冷やし中華に添えたり、甘酢漬けにしたりと、夏の食卓に自然にフィットする食材です。
まとめ
- 生姜の日は2009年に永谷園が制定して日本記念日協会に登録された記念日
- 6月15日という日付は語呂合わせではなく、石川県金沢市の波自加彌神社で毎年この日に行われる「はじかみ大祭」が由来
- はじかみ大祭の起源は奈良時代にまで遡り、37日間の断食祈願の末に霊水が湧いた奇跡への感謝として、干ばつでも育っていた生姜を神に献じたことがはじまりとされている
- 生姜の呼び名は「はじかみ」→「しょうが(室町時代〜)」→「生姜という漢字(江戸時代〜)」と変化してきた
- はじかみ大祭では全国から600人規模が集まり、生姜湯を振る舞う神事「直会の儀」が行われる
- 生姜の健康効果は109のRCTをまとめた研究でも確認されており、生と加熱で含まれる成分(ジンゲロール・ショウガオール)の働きが変わる

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