この記事を読めば「子どもに本を贈る日」がいつ、誰がどんな理由で作った記念日なのか、その背景にある歴史の流れまでまるっと理解できます。
「こどもの日にプレゼントを贈りたいけど、何がいいんだろう」
「本を贈るって、そもそも何か特別な意味があるの?」
そう気になっている方に向けてこの記念日の深いところまで掘り下げてみました。
子どもに本を贈る日の基本情報
5月5日は「子どもに本を贈る日」という記念日でもあるんです。
こどもの日と重なっているので見落とされがちですが、実はちゃんとした制定の経緯がある記念日なんですよね。
誰が制定したの?
この記念日を作ったのは、株式会社トーハン(旧・東京出版販売株式会社)という出版物の流通専門商社です。
出版社と全国の書店を結ぶ「取次」と呼ばれるポジションの会社で、日本の出版流通の屋台骨を担ってきた存在ですね。
制定されたのは2000年(平成12年)のこと。
「こどもの日」にちなんで記念日が設けられ、全国の書店でキャンペーンが行われるようになりました。
なぜ2000年に制定されたのか
2000年という年、実はこどもと読書をめぐって日本全体が大きく動いた年でした。
そのあたりの背景を知るとこの記念日の意味がぐっと深く感じられると思います。
「子ども読書年」という国会決議
1999年8月、衆議院・参議院の両院で「子ども読書年に関する決議」が採択されました。
決議の内容は要するに、「国立国際子ども図書館が開館する2000年を『子ども読書年』と定め、子どもたちの読書活動を国を挙げて支援しましょう」というもの。
この動きは子どもたちの読書離れや活字離れへの危機感が国会レベルまで高まったことを示していて、当時としてはかなり本格的な取り組みだったと思います。
国立国際子ども図書館の開館
そして2000年5月5日。そう、こどもの日に。国立国際子ども図書館が開館しました。
国立国会図書館の支部図書館として設立された日本で最初の国立の児童書専門図書館です。
場所は東京・上野の旧帝国図書館の建物でその象徴的な開館日が5月5日だったんですよね。
トーハンが「子どもに本を贈る日」を5月5日に制定したのはこうした社会的な盛り上がりと完全にタイミングが重なっています。
一企業の記念日制定ではあるものの、時代のムードと連動した意味のある動きだったと感じています。
5月5日と読書の関係性
5月5日はこどもの日として知られていますが実は本や読書に関係する動きが集中している時期でもあります。
子ども読書週間との関係
「子ども読書週間」という取り組みをご存知でしょうか?
4月23日(子ども読書の日・世界図書の日)から5月12日までの約3週間が子ども読書週間に指定されています。
もともとは5月5日を中心とした2週間(5月1日〜14日)として設けられていたのですが、「子ども読書年」である2000年を機に現在の形に変更されたという経緯があります。
つまり「子どもに本を贈る日」の5月5日はこの子ども読書週間のちょうど真っ只中にあるんです。
全国の書店でキャンペーンが行われるのもこの週間に合わせた取り組みのひとつと理解すると自然ですよね。
4月23日「子ども読書の日」との違いは?
「4月23日にも本に関係する記念日があるんじゃないの?」と思った方、鋭いです。
4月23日は国際的には「世界図書・著作権デー(世界本の日)」で日本では「子ども読書の日」に指定されています。
こちらは2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」によって法定された記念日で、国が定めたより公的な位置づけです。
一方、5月5日の「子どもに本を贈る日」はトーハンが制定した記念日。
「読書を大切にしましょう」という啓発よりも、「大切な子どもに一冊の本を贈りましょう」というギフトとしての本を提案する視点が強いのが特徴かなと思います。
子どもの読書をめぐる日本の歴史的な流れ
「子どもに本を贈る日」が生まれた2000年前後は、実は子どもの読書推進という意味でひとつの転換点でした。その歴史的な文脈を少し整理してみます。
国際的な子どもの本の日(4月2日)
国際的に見ると「国際子どもの本の日(International Children’s Book Day)」は1967年にIBBY(国際児童図書評議会)が制定した4月2日の記念日で、童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日にあたります
IBBYは1953年にスイスで設立された国際非営利組織で、創設者はドイツの作家イエラ・レップマンです。
1995年、日本が担当国となったときに発信したメッセージは「本は、子どもと世界をむすぶ」でした。
本を通じて異なる文化や価値観に触れることで他者への理解や共感が生まれるという考え方が、この記念日の根底にあります。
2001年「子どもの読書活動の推進に関する法律」の制定
「子ども読書年」の翌2001年、「子どもの読書活動の推進に関する法律」が制定されました。
これは2000年の「子ども読書年」の理念を法律として具体化したもので、「子ども読書の日(4月23日)」の設定もこの法律によるものです。
国レベルで読書推進の仕組みが整えられていったのがこの時期で、「子どもに本を贈る日」はその波の最初期に生まれた記念日とも言えます。
2010年「国民読書年」へ
2008年の国会決議により、2010年は「国民読書年」に指定されました。
子どもだけでなく大人を含めた国全体での読書推進へと運動のスケールが広がっていった経緯があります。
「文字・活字文化振興法」の制定・施行5周年という節目でもありました。
現代の子どもの読書事情
「子どもに本を贈る日」が制定されて20年以上が経ちましたが子どもたちの読書事情は今どうなっているんでしょう。
読書調査データ
全国学校図書館協議会の第70回学校読書調査(2025年)によると、2025年5月の1か月間の平均読書冊数は小学生が12.1冊、中学生が3.9冊、高校生が1.4冊でした。
一方、不読者(その月に1冊も読まなかった子)の割合は小学生9.6%に対し、高校生では55.7%にのぼっています。年齢が上がるほど読書から離れていく傾向は、数字として明確に出ているんですよね。
前年の2024年調査では小学生の平均が13.8冊だったので2025年はわずかに減少しています。ただ、これが傾向として続くのかは、今後の調査を見ないとなんとも言えない部分がありますね。
本を「贈る」という行為の意味
個人的にはこの記念日で面白いと思っているのが「贈る」という動詞にこだわっているところなんです。
「読む」でも「与える」でもなく「贈る」。
つまり、本をギフトとして位置づけることでモノとしての本のあたたかさを伝えようとしているように感じます。
高校生の不読率が55%を超えているという現実があるからこそ小さいうちから「本は特別なもの」という感覚を育てることが大切なんでしょう。
こどもの日に鎧兜やこいのぼりを飾るように本という文化的なギフトを贈る習慣を根付かせたいという願いが、この記念日には込められているんだと思います。
まとめ
- 「子どもに本を贈る日」は2000年に株式会社トーハンが制定した5月5日の記念日で「こどもの日」にちなんでいる
- 制定の背景には、1999年の「子ども読書年」国会決議と2000年5月5日の国立国際子ども図書館の開館という大きな社会的ムーブメントがある
- 4月2日の「国際子どもの本の日」(IBBY制定・1967年〜)、4月23日の「子ども読書の日」(法律で制定・2001年〜)と並ぶ、本と子どもに関する記念日のひとつ
- 全国の書店でキャンペーンが実施されており、「本をギフトとして贈る」文化の普及が目的
- 2025年の調査では高校生の55.7%が不読者という現状もあり、幼いうちから本に親しむ習慣を育てることの重要性はむしろ高まっている
こどもの日のプレゼントに迷ったらぜひ一冊の本を手に取ってみてください。
それがこの記念日のいちばんシンプルなお祝い方法だと思います。


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