ゲームは一日1時間なんて言葉、子どもの頃に何度も聞かされた記憶がある人、けっこう多いんじゃないでしょうか。
実はこの標語が生まれた7月26日には「ゲームは一日1時間!!の日」という記念日的な位置づけがあって、その由来を辿ると誕生の裏側にはちょっと切ない事情があったんですよね。
ゲームは一日1時間の日とは何か
まずはこの日がどういう位置づけなのか簡単に整理しておきますね。
7月26日という日付の意味
「ゲームは一日1時間!!の日」は、あの有名な標語「ゲームは一日一時間」が誕生した1985年7月26日にちなんだ日です。
場所は福岡市東区にあったダイエー香椎店で、ハドソン主催の「全国キャラバン」というイベントが開催されていたんです。
ファミコンが発売されてちょうど2年ほど経ったタイミングで、名作「スーパーマリオブラザーズ」の発売はこの年の9月ですから、まさにファミコンブームが加速していく直前の出来事だったんですね。
誰が言い出した言葉なのか
言わずと知れた高橋名人こと高橋利幸さんが生み出した言葉です。
ハドソンの社員として全国のキャラバンイベントを飛び回っていた人物で、「16連射」でも有名ですよね。
ただ、この標語が生まれた経緯を知るとただのキャッチコピーとして作られたわけじゃないんだなというのが分かってきます。
ゲームは一日1時間の由来と誕生秘話
このフレーズがどうやって世に出たのか、ちょっと詳しく見ていきましょう。
とっさに出た一言だった
高橋名人自身が語っているところによると、この言葉は最初から計算されたキャッチコピーではなかったみたいです。
福岡のイベント会場に保護者がたくさん詰めかけていて、「何か言わなければ」という空気を感じた高橋名人が、とっさに「テレビゲームがうまくなりたいなら、1時間だけ集中してやろう。あとは外で遊ぼう」というようなことを口にしたのがきっかけだったんです。
個人的にはこのエピソード、かなり人間味があるなと感じました。
準備してきた言葉じゃなくてその場の雰囲気から生まれた発言だったわけですから。
会社に呼び出された高橋名人
ここが結構面白いところなんですがこの発言、当時のハドソンにとっては都合が悪かったんですよね。
だってファミコンブームを盛り上げようとしている最中に、社員が「遊ぶな」的な発言をしてしまったわけですから。
案の定、問屋さんからハドソンの営業部に問い合わせが入り、翌日には役員会議が開かれる事態になったそうです。
でも結果的には社長が「将来のためには健全な方向に持っていくほうが正しい」と判断して、会社としてこの発言を後押しする方向に動いたんです。
そこから正式に「ゲームは一日一時間」を含む5つの標語が作られました。
以下がその5大標語です。
- ゲームは一日一時間
- 外で遊ぼう元気良く
- 僕らの仕事はもちろん勉強
- 成績上がればゲームも楽しい
- 僕らは未来の社会人
なんかこうして並べてみると当時の時代の空気感がよく伝わってきますね。
標語の本当の意味と誤解されがちな部分
「1時間しかやってはいけない」という規制のイメージが強いこの言葉、実は本人の意図はちょっと違っていたようです。
単なる時間制限ではなかった
高橋名人が2020年のインタビューで明かしているところによると、この言葉の根っこにあったのは
「上手くなりたいなら、1時間という自分が集中できる時間に一生懸命練習しなさい」
という考え方だったんです。
だらだら長時間プレイして失敗した記憶が残ると逆にうまくならない、集中して1時間やって疲れを感じたらすぐ止めるほうが成長につながるというのが元々の趣旨だったみたいですね。
要するに、規制というより「集中と休息のメリハリ」を伝えたかったんだろうなと思います。
1時間という数字に科学的根拠はあったのか
これは高橋名人本人が正直に語っている部分なんですが、「1時間」という数字自体には特に根拠があったわけではなく、その場で閃いた言い回しに近かったそうです。
ここは意外と知られていない事実かもしれません。
当時はまだゲームセンター(インベーダーハウス)が不良の溜まり場と見なされて入場禁止になる時期で、ファミコンなどの家庭用ゲーム機の登場でどこでも遊べる状況になったからこそ、何らかの目安が必要だと感じたという背景があったようです。
子どもたちからの反発として一番多かったのは「1時間ではクリアできない」という声だったというのもなんだか当時の熱量が伝わってくる話ですよね。
その後の広がりと社会への影響
この標語が生まれた1985年から40年以上経った今もこの言葉は形を変えながら日本社会に影響を与え続けています。
香川県のゲーム条例とのつながり
2020年4月、香川県が全国で初めて「ネット・ゲーム依存症対策条例」を施行しました。
18歳未満のゲーム利用時間を平日60分、休日90分までを目安とするこの条例、まさに高橋名人の標語を想起させる内容になっています。
ただ、ここは誤解しないでいただきたいポイントで、この条例自体は高橋名人の標語を直接の根拠にして作られたものではなく、久里浜医療センターや県独自の調査を参考にしたとされています。
とはいえ、香川県議会での議論の際に高橋名人本人もコメントを寄せていて、「1985年から言っている事ですが、すでに35年が経過しています」と振り返っていたのが印象的でした。

条例の効果検証は今も続いている
香川県の条例は施行から4年半経った2024年10月の県議会でも議論が続いていて、依存症対策の成果や名称の是非について話し合われています。
2024年度の学習シートでは「ゲーム症(ゲーム依存症)」という表現が「ゲーム行動症(ゲーム症)」に変更されたそうです。
ちなみに厚生労働省も2024年9月19日から、WHOの国際疾病分類の和訳として「ゲーム行動症」という訳語を統一的に採用することを決めています。
第三者による効果検証はまだ行われていないとのことで、県の子ども政策推進局も「現時点で第三者検証や結果発信は考えていない」と回答しているみたいですね。
この辺りは今後も動きがありそうなので注目しておきたい部分だなと感じています。
ゲームは一日1時間の日から学べること
ここまでの内容を振り返ってみるとこの標語が持つ意味って想像以上に奥深かったんじゃないかなと思います。
- 誕生日は1985年7月26日、福岡市のダイエー香椎店でのイベントがきっかけ
- 生み出したのは高橋名人で、とっさの発言だったのに会社の役員会議にまで発展した
- 本来の意味は「時間制限」ではなく「集中と休息のメリハリ」だった
- 「1時間」という数字自体には明確な科学的根拠はなかったと本人が認めている
- 香川県の条例と直接の因果関係はないが、社会的な議論のきっかけとして今も参照される存在になっている
自分も子どもの頃、この言葉に何度も言われた記憶があるんですがこうして由来を調べてみると、単純な「規制の言葉」じゃなかったんだなというのが分かって、ちょっと見方が変わりました。
ゲームとの付き合い方に悩んでいる方は時間の長さだけじゃなく「集中してやって、疲れたら止める」という高橋名人の元々の考え方を参考にしてみるのも良いかもしれませんね。
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