この記事を読めば、月1日がなぜ「ウォークマンの日」なのか、その由来から初代機の誕生秘話、世界への広がりまで一気にわかります。
「そういえば今日って何の日だっけ?」ってふと気になることありますよね。
7月1日は日本が世界を変えた日。なんて言ったら大げさかもしれないですが、実はそれくらいインパクトのある出来事が起きた日なんです。
音楽の聴き方そのものを塗り替えた、あの「ウォークマン」が生まれた日です。
ウォークマンの日とは
7月1日が「ウォークマンの日」と呼ばれる理由はシンプルで、1979年(昭和54年)7月1日にソニーが携帯式ヘッドホンステレオ「TPS-L2」初代ウォークマンを発売した日だからです。
この発売日がそのまま記念日として語り継がれています。
初代ウォークマン誕生の経緯
初代ウォークマンがどうやって生まれたのか実はけっこうドラマチックな話があります。
井深大のひとことから始まった
発端はソニー共同創業者の井深大(いぶかまさる)氏が「飛行機の中でステレオでオペラを聴きたい」と思ったことだと言われています。
当時の音楽再生機器は家庭用ステレオやラジカセが主流で、外に持ち出せるようなものではありませんでした。
そこで技術者が既存の携帯カセットレコーダー「プレスマン」を改造し、録音機能とスピーカーをなくしてステレオヘッドホン対応にした試作機を作ったのです。
社内では猛反対
ところが、この試作機を商品化しようとしたら社内で猛反対が起きます。
「録音もできないのに売れるはずがない」という声がほとんどだったんです。
テープレコーダーは「録音できてこそ売れる」という常識があったので、再生専用機なんて売れない。というのが当時の社内の空気だったみたいです。
それを押し切ったのが共同創業者の盛田昭夫(もりたあきお)会長です。
盛田会長の決断がなければ、ウォークマンはこの世に存在しなかったかもしれません。
要するに、「常識を疑う」という1人の人間の判断が後に世界的な大ヒットを生んだわけです。
発売当初は苦戦していた
発売してみたら即ヒット……と思いきや、最初の1か月の売り上げはわずか3,000台でした。価格も33,000円と高く、当時の大卒初任給が約11万円だったことを考えると、初任給の3分の1近くを占める金額です。
しかもマスコミの反応も冷ややかで新聞掲載もごくわずかだったとか。
宣伝部隊の努力が火をつけた
転機になったのはソニーの宣伝部や営業チームが街頭に出て直接PRする活動を始めたことです。
若者たちの口コミに火がつくと状況は一変。
発売から2か月後の8月には、初回生産分の3万台が完売。その後は供給が需要に追いつかない状態が年内いっぱい続いたといいます。まあ、現代でいうところのSNSバズに近い広がり方だったのかもしれません。
ちなみにYouTubeのある動画では最初の2か月で5万台以上を売ったという数字も紹介されています。細かい数字には多少の諸説がありますが、爆発的な人気だったことは確かです。
「WALKMAN」という名前の誕生
和製英語だった
じつは「WALKMAN」という名前、完全な和製英語なんです。
英語圏の人が聞いたとき、文法的に正しい英語表現とは言えません。
名前の由来は当時のソニー社内で流行っていた「スーパーマン」や、もともとの録音機「プレスマン」のネーミングスタイルに倣ったものだと言われています。
「歩きながら音楽を聴く」というコンセプトを体現するシンプルな名前として採用されました。
海外では4つの名前があった
海外展開の際、各国のソニー現地法人がこの和製英語に難色を示したため、実は4つの異なる名前で同時展開されていました。
- アメリカ:Soundabout(サウンダバウト)。「walk about(歩き回る)」をもじった造語
- イギリス:Stowaway(ストワウェイ)
- スウェーデン:Freestyle(フリースタイル)
- 日本:ウォークマン(WALKMAN)
盛田会長はもともと、アメリカが提案してきた「Sony Disco Jogger」という名前を却下しています。
理由は「ディスコという言葉で年配のお客さんが興味を失う」というものでした。

名前が世界統一されるまで
ところが日本での人気が爆発すると、来日した外国人観光客がウォークマンをお土産として買い始め、現地の電器店に「ウォークマンをください」と問い合わせが来るようになります。
口コミで「WALKMAN」という名前が世界に広がった形ですね。
1980年4月、盛田会長がアメリカのセールス会議で「全世界でWALKMANという名前に統一する」と宣言。
アメリカでは「Soundabout is now WALKMAN(サウンダバウトは、ウォークマンになりました)」という襲名披露広告まで打たれました。
そしてこの名前は、1986年にはイギリスの権威ある英語辞典「Oxford English Dictionary(オックスフォード英語辞典)」に、1991年には日本の「広辞苑」にも収録されることになります。
和製英語が世界の辞書に載るって思いのほかすごいことだと感じます。
ウォークマンが変えたこと
「音楽は家で聴くもの」「音楽は大勢で共有するもの」。そんな常識が、ウォークマンの登場で根本から変わりました。
ヘッドホンをつければ、車の中でも公園でも、自分だけの音楽空間が生まれる。「音楽を個人で楽しむ」という文化そのものを発明したと言っても過言ではないでしょう。
カセットからメモリーへ、進化の歴史
初代TPS-L2はカセットテープ対応でしたがその後ウォークマンはメディアとともに進化を続けています。
- カセットウォークマン:TPS-L2(1979年〜)
- CDウォークマン(DiscMan):CDが聴けるポータブルプレーヤー
- MDウォークマン:ミニディスク対応
- メモリーウォークマン:フラッシュメモリーで軽量化
- ハイレゾ対応の機種:ソニーのブランドとして続く
カセット時代だけで全世界累計2億台以上を売り上げたとも言われています。2008年度末時点での累計出荷台数は約3億8,500万台というソニーの公式データもあります。
まとめ
- 7月1日の「ウォークマンの日」は、1979年にソニーが初代ウォークマン「TPS-L2」を発売した日に由来
- 開発のきっかけは井深大氏の「飛行機でステレオ音楽を聴きたい」という発想
- 社内の猛反対を盛田昭夫会長が押し切って商品化を実現
- 発売1か月目は3,000台と低調だったが口コミで爆発的にヒット
- 「WALKMAN」は和製英語で、海外では当初4つの名前で販売されていた
- 1980年に盛田会長が全世界での名称統一を宣言、1986年にはオックスフォード英語辞典に掲載
- 「音楽を個人で持ち歩く」という文化をつくった製品として、累計3億8,500万台以上を出荷
カセットテープを知らない世代にとっても、スマートフォンで音楽を聴く今のライフスタイルの「原点」として、ぜひ知っておいてほしい歴史だと思います。

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