毎年5月20日は「世界ミツバチの日(World Bee Day)」です。
この記事を読めばその制定の背景や歴史、目的やミツバチが私たちの食生活にどれほど深く関わっているかがすべてわかります。
「なんか、ミツバチの記念日って言われてもピンとこない」
という方も多いかもしれません。
でも、実はこの日には意外と壮大な歴史と知ると少しゾっとするような食糧問題が絡み合っているんです。
世界ミツバチの日とは
この章では「世界ミツバチの日」の基本的な概要を押さえておきましょう。
国連が定めた国際デー
「世界ミツバチの日」は2017年12月20日に国連総会で採択された国際デーです。
決議番号はResolution72/211で、すべての加盟国が参加する形で全会一致で承認されました。
英語では「World Bee Day」と呼ばれ、FAO(国連食糧農業機関)がその普及活動の中心を担っています。
初めて実際に祝われたのは2018年のことで、以来毎年5月20日に世界各地でイベントや啓発活動が行われています。

5月20日という日付の意味
なぜ5月20日なのか、気になりませんか?
この日付はスロベニアの養蜂家・アントン・ヤンシャ(Anton Janša)の誕生日に由来しています。彼は1734年5月20日に生まれ、近代養蜂の礎を築いた人物として知られています。
それだけじゃなく5月という時期も理由があって北半球では受粉の最盛期にあたり、南半球では蜂蜜の収穫期にあたるため、地球全体にとって意味のある月として選ばれた側面もあります。
制定の立役者・スロベニアとは
世界ミツバチの日の発案国であるスロベニアがどれほど養蜂に深く根ざした国かを解説します。
養蜂大国スロベニアの実態
スロベニアは人口わずか約200万人ほどの小国ですが、1,000人あたり5人の養蜂家がいるというEU加盟国の中でもトップクラスの養蜂密度を誇ります。
2020年時点で11,293人の養蜂家が15,420か所の養蜂場で21万コロニー以上を管理していて、これは10年前と比べて42%増とのこと。
この国では法律によって在来種のカーニオラン・ハニービー(Apis mellifera carnica)による養蜂のみが認められていて、スロベニアはEU加盟国の中でいち早くミツバチを法律で守った国でもあります。
案外、「法律でミツバチの品種を守る」というのはかなり珍しい取り組みですよね。

スロベニアが提案に動いた経緯
2015年、スロベニア政府はスロベニア養蜂家協会(Beekeepers Association of Slovenia)の働きかけを受け、FAOへの提案準備を開始しました。
翌2016年にFAOのヨーロッパ地域会議で正式に提案され、国際養蜂家協会連盟(Apimondia)の後押しも得て、2017年に承認へとこぎつけました。
アントン・ヤンシャの功績を称えながら同時にミツバチ保護の機運を世界規模で高めるという、この二つの目的が重なったからこそ、スロベニアが本気で動いたんだろうなという気がします。
近代養蜂の父 アントン・ヤンシャとは
世界ミツバチの日を語るうえで、この人物を知らないと始まりません。
生い立ちと才能の目覚め
アントン・ヤンシャは1734年5月20日、スロベニアのブレズニツァ(Breznica)に生まれました。
100以上の巣箱を持つ養蜂一家に育ち、幼い頃からミツバチへの強い関心を持ったといいます。絵画の才能にも恵まれていたものの、最終的に養蜂の道を選んだ、というエピソードが印象的でした。
特筆すべきなのはその徹底した観察眼。
ドローン(雄バチ)と女王バチの役割を世界で初めて正確に解明した人物とされていて、「雄バチは水を運ぶ」という当時の誤った常識を覆し、「女王バチは空中で雄バチに受精される」という事実を発見しました。
ハプスブルク帝国で認められた実績
1770年、マリア・テレジア女帝がウィーンのアウガルテンに養蜂学校を設立した際、ヤンシャはハプスブルク帝国最初の養蜂教官として任命されました。
これはスロベニア出身者としてはかなり異例の出世で、その技術と知識がいかに高く評価されていたかがわかりますよね。
1773年に39歳で亡くなりますが死後の1775年に刊行された著書『完全な養蜂の手引き(Popolni nauk očebelarstvu)』はスロベニア語に翻訳された最初の養蜂書となり、ハプスブルク帝国全土で公式教科書として使われ続けました。
世界ミツバチの日の目的と意義
制定された理由はただ「記念日を作りたかった」ではありません。
ポリネーター(花粉媒介者)の重要性を知ること
国連がこの日を制定した根本的な目的はミツバチをはじめとする花粉媒介者(ポリネーター)の役割を世界中に認識させることです。
2011年の国連環境計画の報告書によれば、「世界の食糧の90%をまかなう100種類の作物のうち、70種以上の授粉をミツバチが媒介している」という事実が明らかにされています。
それだけじゃなく、私たちが口にする果物や野菜の約75%がミツバチの働きの恩恵を受けているとも言われています。
農業・食品産業技術総合研究機構によれば日本国内だけでもミツバチによる受粉の経済効果は約1,800億円に上るとされていて、その数字を知ると「ミツバチって本当にすごいな」と素直に思います。
ミツバチが直面している脅威
世界ミツバチの日が制定された背景にはミツバチの個体数が世界的に減少しているという深刻な現実があります。
原因としては地球温暖化によるダニ(ウイルス感染)などの病害虫の増加、森林伐採による蜜源の減少、そしてネオニコチノイド系農薬の影響が有力視されています。
ネオニコチノイド系農薬については汚染された花粉や蜜を食べた幼虫の脳が正常に発達しない「発達障害」の報告もあり、因果関係の検証が進んでいます。
日本ではイチゴの国内栽培面積の約9割、メロンの約8割でミツバチが花粉交配に使われていて、ミツバチが減れば食卓に直接影響が出るのは間違いないんです。

まとめ
- 世界ミツバチの日は毎年5月20日で2017年12月の国連総会でスロベニアの提案により全会一致で制定された国際デー
- 日付はスロベニアの近代養蜂の父・アントン・ヤンシャ(1734年5月20日生まれ)の誕生日に由来する
- ヤンシャはドローン(雄バチ)の役割解明、巣箱の改良、カーニオランビーの普及など現代養蜂の基礎を作り上げた人物
- 目的は「ミツバチやポリネーターの重要性を認識し、保護を促進すること」で、世界の食糧生産の多くがミツバチに依存していることがその背景にある
- 2025年のテーマは「Bee inspired by nature to nourish us all」で、持続可能な食農システムの観点からポリネーター保護の重要性が訴えられた
- スロベニアは人口1,000人あたり5人の養蜂家を持つ養蜂大国で、EUで初めてミツバチを法律で保護した国でもある
- 日本国内のミツバチによる受粉の経済効果は年間約1,800億円に上る


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